標準化


工業製品の製造において全てのツール、手法の基本となる考え方が「標準化」になります。

標準化とは

「標準」とは、こうあるべきという姿を明確にした取り決めです。その中身には「こうあるべき行動」「こうあるべき規格、範囲」「こうあるべき方法」など様々なものがあります。例えば、「オムレツを作るときはこの道具を使って、この方法で、出来上がりはこの大きさで」という具合にオムレツ作りに関してのことが事細かく決められています。そして、この取り決めを守って作業した場合は常に結果は同じになるということが重要です。逆に結果が異なる時は「標準」から外れた作業をしたということになります。

「標準化」とは製造する製品によって異なるこの取り決めを全て作り、それを実行していく活動になります。

標準化の考え方

そもそも製造業とは「モノを作ること」です。では、良い製造業とは何でしょうか。ただモノを作れば良いのでしょうか。良い製造業とは「モノを作ること」にさらに色々と価値を付け加えていかなくてはいけません。

モノを作ること→品質の良いモノを作ること→品質の良いモノを低コストで作ること→品質の良いモノを低コストで納期通り作ること→品質の良いモノを低コストで納期通り必要な数だけ作ること→品質の良いモノを低コストで納期通りに必要な数だけ安定的に作ること

これだけ色々と付け加えなければいけません。製造業ではこの目標を達成するために様々な部署が様々な活動をします。

品質:品質管理部 コスト:原価管理部 納期:生産管理部 生産数:製造部

そしてそれらをバラツキなく安定的に継続、向上させることが必要です。そしてこの「安定的」というのはどの部署でも共通で必要なことになります。

生産されたモノの品質にバラツキがあると嫌ですよね。いつも売ってるモノが今日に限って品切れだと嫌ですよね。昨日の卵の値段は100円、今日は50円、明日は300円だと困りますよね。

このバラツキを管理するのが標準化の考え方になります。そしてその考え方は製造業のどの分野においても必要な考え方になります。

そして、標準化に終わりはありません。常に標準を改善しより良くなるように活動していきます。

標準化の目的

品質の安定

品質バラツキのない製品を生産するためには、4M(人・機械・材料・方法)の変化点管理が必要です。この4Mの状態が崩れた時こそが品質が低下する時だからです。標準では当然この4Mについての取り決めがあります。4Mに変化があった時=標準から外れている状態となります。そのために標準化が必要となります。

コスト管理

例えば、標準には材料の種類・個数などの取り決めもあります。必要な個数が把握出来るので決められた材料を必要な個数だけ購入できます。コスト面を事前に把握することが出来、無駄な材料購入も防ぐことが出来ます。

効率化

作業自体が標準化できるとムダの発見や削減に繋がります。例えば標準には「標準時間」というものを設定します。この作業をするのにかかる目安時間のようなものです。Aさんの作業時間が標準時間より長い場合、Aさんの作業には標準作業の中には無いムダな作業が含まれているかもしれません。Bさんの作業時間が標準時間より短い場合、標準作業自体にムダな作業が含まれているかもしれません。この場合、Bさんの作業を元に標準作業を見直すことを検討します。

納期管理

標準化することで製造開始から完成までの期間を管理することが出来ます。また、標準化により不良品が減ることで不良品の処置に対する時間が削減されることになるので納期の短縮やムダな作業の削減に繋がります。

教育

製造業というのは複数人で作業することが多いです。また、時代の変化に合わせて製造するモノや製造する人は変わっていきます。上記の内容をバラツキなく人に伝えるためには標準は必要不可欠になります。

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